遺産承継で利用する死因贈与契約をご存知ですか?
安否確認サービス連動エンディングノート「人生金庫」では相続のグループで、手法を幾つか提案しています。
そのなかで提案している一つの方法として「死因贈与契約」があります。
死因贈与ってなんですか?
死因贈与とは、受贈者(贈与を受ける人)の承諾の元、贈与者(贈与をする人)と、贈与者が生前のうちに契約で財産を分け与えることをいいます。
契約とともに権利義務が発生し、その効力は贈与者の死亡のときから生じます。
受贈者は贈与を受ける権利を保全するために、贈与者の生前において始期付き所有権移転の仮登記をすることができます。遺贈は、贈与者が生きている間は所有権移転の仮登記はできませんので、この点が最も異なります。
死因贈与契約のポイント
「死因贈与」は贈与契約ですが、贈与者の死亡によって効力を生ずる点は相続(遺贈)と同じです。相続税も死因贈与を遺贈に含めて規定しており、相続税の課税対象としています。 また、その意思が実現されるためにも遺言書の方式ではなく、きちんとした契約書面を用意し、死後の手続きを任せられる執行者を選任しておく必要があります。
・撤回
遺贈の規定が準用され、原則として撤回できる
(負担付き死因贈与契約の場合で、受贈者がすでに負担を履行した場合は、撤回できない)
・放棄
契約につき、一方的な放棄は不可
・税金
相続税が課税される
(生前贈与の場合は、贈与税が課税される)
死因贈与の問題点
1)不動産取得税が課税される
死因贈与により贈与された財産が不動産である場合、不動産取得税が課税されます。
遺言による場合には、相続人以外の者が遺言により不動産を取得したのであれば死因贈与と同様に不動産取得税が課税されるのに対し、これが相続人の立場である場合には、不動産取得税は非課税となり、課税されません。
2)登記費用が高い
取得した財産について、登記を行う場合に要する登録免許税は5倍も高くなります。
贈与・遺贈場合 ・・・固定資産税評価額×20/1000
相続(相続人に対する遺贈を含む)・・・固定資産税評価額×4/1000
3)相続人とのトラブルが予想される
死因贈与という形で契約することにより、被相続人の財産処分が明らかになって、受贈者と相続人である子供たちの間で感情的な対立が生ずることもあります。このため、現在は、財産処分を自分が死ぬまで明らかにしたくないという被相続人が多く、死因贈与という形よりも遺贈という形が多く利用されています。
トラブルが予想されるため、公正証書で作成することをお勧めします。
死因贈与契約の執行者
死因贈与も遺言と同様に、執行者を選任することが望ましいとされています。
特に、死因贈与契約の場合には、贈与者が死亡した時に、死亡した贈与者は贈与行為ができないため、贈与者に代わって相続人全員の同意が必要です。執行者の指定がない場合、所有権移転の登記手続の際に、贈与者の相続人全員を登記義務者として実印と印鑑証明書を添付して申請することを要しますので、相続人の一人でも贈与の実行に協力しない場合、贈与手続ができなくなってしまいます。
すなわち、死因贈与契約執行者を定めておくと、不動産の移転登記の際には、権利者たる受贈者と義務者たる死因贈与契約執行者との共同申請で行うことになるので、相続人の協力を得なくとも行えます。
農地の贈与は注意すること
贈与された土地が農地である場合には死因贈与により所有権の移転を行う際に農地法第3条の許可が必要とされます。農地法第3条の許可申請においては、農業従事者であることや、取得後の耕作等の下限面積等いくつか制限が設けられているため、通常の土地と同じように考えて死因贈与契約を結んだところが、いざ、契約の効力が生じた場合に、農地であるがために農地法第3条の許可申請に係る要件を満たさず、所有権の移転登記ができないということもありますので、十分な注意が必要となります。
死因贈与契約書のサンプル
投稿者プロフィール
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株式会社スタジオくまかけ代表取締役で業界としては30年近く存在(^^;
数年前に事故で緊急入院し、突然連絡が取れなくなり、仕事に支障をきたした経験から、事業を継続させるためには安否確認と自動的な情報継承が必須だと考えました。
当初他社のサービスを利用するつもりで探したのですが、自分にフィットするものがないため「人生金庫」の開発をスタート。
「終活」に興味を持ち、気になった情報を収集して発信しています。
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